2023年 東京藝術大学 芸術情報センター開設科目 「コードとデザイン」(前期 金曜4・5限)

2023年 東京藝術大学 芸術情報センター開設科目 「コードとデザイン」 テクノロジー表現のはじめの一歩 #

(前期 金曜4・5限)

講師: 松浦知也

教室:芸術情報センター(総合工房棟A 2F)演習室1・2

特記事項 初回授業(4月7日)金曜4限の14時40分より開始。履修希望者多数の場合は初回授業にて選考。

授業概要 #

本授業では、コンピューターを積極的に用いる作品制作やデザインのための基礎的な知識を、実践を交えて学ぶ。特に、LEDやスイッチのようなハードウェアとインターフェースの取り扱いを、電子工作やプログラミングを通じて習得する。 授業前半は、コンピューターを構成するアルゴリズムやプロトコル、ロジックといった構成要素を、コンピューターを使わず、ワークショップや簡単な電子工作を通じて理解することを目指す。

後半は、Arduinoと呼ばれる電子工作とプログラミングを簡単に繋げられる環境や、レーザーカッター、3Dプリンターのようなデジタルファブリケーション機器を用いて、より実践的なインタラクションや制御の方法を理解し、自分の制作に取り入れられるようになることを目指す。

※使用機材の関連から履修者は最大20名程度に限定する。感染状況によっては履修人数をさらに制限する可能性あり。

到達目標・カリキュラム上の位置付け #

本授業の到達目標は、履修者が電子工作やプログラミングを通じて、コンピューターをブラックボックスとしてではなく、制作の道具として主体的に扱えるようになることである。

また、デジタルファブリケーション機器の操作を通じて、データと物質を相互に変換させる方法を学ぶことで、制作の下敷きになるデータ・情報の構造を深く理解することを目標とする。

授業計画・内容 #

(初年度のため、実施状況に応じて内容は変更になることがあります。)

  1. (4/7) イントロダクション 電気を使わないコンピューティング
  2. (4/14) 電子工作脱入門(Victorian Oscillator)
  3. (4/21) Paper Circuitと論理回路
  4. (4/28) 二進数WS
  5. (5/12) Handmade Computer(みんなでつくる全加算器)
  6. (5/19) ソフトウェアとアルゴリズムーArduinoを使ってみよう
  7. (5/26) 入力を考える(不条理なマウスを作る)
  8. (6/2) 入力を考える2 - ProcessingとArduinoの連携、オブジェクト指向プログラミング(一人用PONG)
  9. (6/9) 出力を考える - Arduinoでの音声プログラミング
  10. (6/16) 制作①相談1
  11. (6/23) デジタルファブリケーション:入力機器(可変抵抗)を作る
  12. (6/30) 制作②相談2
  13. (7/7) デジタルファブリケーション:出力機器(スピーカー)を作る
  14. (7/14) 課題発表展示
  15. (7/21) 展示撤収・発表ふりかえりとまとめ

テキスト・参考文献 #

  • 「Code as Creative Medium 創造的なプログラミング教育のための実践ガイドブック」(2022) ゴラン・レヴィン 、 テガ・ブレイン著 澤村正樹 、 杉本達應 、 米田研一 訳、BNN
  • 「Arduinoをはじめよう 第4版」(2015) Massimo Banzi、Michael Shiloh 著、船田 巧 訳、オライリー
  • 「Handmade Electronic Music ―手作り電子回路から生まれる音と音楽 (Make: PROJECTS) 」(2013)Nicolas Collins 著、 久保田 晃弘 監訳、 船田 巧 訳、オライリー
  • 「Making Things Move ―動くモノを作るためのメカニズムと材料の基本 (Make: PROJECTS) 」(2012)Dustyn Roberts 著、 岩崎 修 監修、 金井 哲夫 訳、オライリー

準備学習内容・時間の目安 #

毎回の講義の最後に次回の予習内容を提示する。 また各回の講義資料をWebサイトに掲載するので、必要に応じて各自で復習を行う。

成績評価基準・課題・フィードバック #

成績は出席点を30%、授業中に数回提示される小課題点を30%、課題点を40%として評価する。 出席点は毎回授業の最後にGoogle Formでの感想、質問シートの提出をもってカウントする。

小課題は授業内で取り組んだ課題を、データであればそのまま、物理的な形式の場合写真や動画等を含めたドキュメントとしてGoogle Classroom経由で提出する。

最終課題は次のいずれかを14回目の授業終了時までAMCラボでの展示インストールをもって提出とする。

  • 授業内で制作した小課題をブラッシュアップしたもの
  • 自由制作(自身の制作に授業内で得た知識を反映したもの)

課題制作は個人、グループでの制作どちらも可とする。

最終課題の評点は完成度よりも何を意図して製作したかを重視して採点する。

無条件で、未提出は0点、期限を過ぎての提出は減点とする。

学生へのメッセージ #

今日、映像を作るにしても、音楽を作るにしても、もはやコンピューターを使わずに制作を完結させることの方が大変です。しかし、コンピューターの世界は本来マウスやキーボード、ディスプレイに閉じたものではありません。電子工作で光やモーター、スイッチなど様々な入出力を扱ったり、デジタルファブリケーション機器を用いてデータと物質を相互に変換できるようになれば、現実世界の様々な要素で遊べるようになります。こうした実践を通じて表現の引き出しを増やしつつ、テクノロジーを主体的に使えるようになっていきましょう。

必要な事前知識、期待される授業参加態度 #

電子工作やプログラミング等の事前の経験は問いません。経験がある人は、初心者の人を積極的にサポートすることが期待されます。

授業では、はんだごてやレーザーカッターのように、使い方を誤ると怪我や火災など深刻な問題につながる機材を扱います。服装や髪なども含め、安全対策は指示をよく聞いた上で集中して取り組んでください。

機材について #

ハードウェア関係 #

基本的には電子工作関連の材料や道具はAMCが用意します。

ただし、はんだごて等はそこまで性能の良いものでは無いため、自分で持っているものがある場合、持ち込んでもらっても構いません。

また、最終課題の製作に必要な材料等は原則自身で用意してもらいます。

ソフトウェア関係 #

基本的にはAMC演習室に備え付けられているコンピューター、Mac mini (M1, Late 2020)を使用します。 現時点で使用する可能性の高いソフトウェアは以下の通りです。

AMC演習室のマシンではAdobeを藝大アカウントでログインすることで使用できるようになっています。

自身のラップトップを持ち込んで作業しても構いません。ただし、macOS以外のOSや、OSのバージョン、ハードウェアの違いによって発生する挙動の違いやバグにはすぐに対応できないことがあるので気をつけてください。

演習室のコンピューターはシャットダウン時にデータを消去するため、作業データは適宜USBメモリ等に保存してください。

コミュニケーションツール #

休講等の授業に関する連絡、参考資料、また課題に関するデータのやりとりは全てGoogle Classroomを通じて行います。必ず履修が確定する2週目までに登録を済ませてください。

連絡先 #

連絡の際は氏名、受講生の場合は受講年度などを添えて連絡してください。

teach[at]matsuuratomoya.com